BJPクローラー
2026年8月4日 01:05
タイの自動車生産は2028年まで伸びる見通しが出てきた。2569年から2571年(2026〜2028年)にかけて生産台数は増加に転じるとみられ、それを支えるのが2000億バーツ規模の融資措置と、電気自動車(EV)振興策「EV3.5」である。
タイは長年「アジアのデトロイト」と呼ばれ、東南アジア最大の自動車生産拠点であり続けてきた。ところが近年は、国内販売の低迷と自動車ローンの審査厳格化が重なり、生産が縮小していた。買いたい人はいても、ローンが通らない——それがタイ自動車市場の実情だった。
2000億バーツが向かう先、今回の見通しで大きな役割を果たすとされるのが、2000億バーツ規模の融資枠である。自動車購入に必要な信用供与を回復させることが狙いで、需要側のボトルネックを直接ほぐす措置だ。
タイの自動車販売は、ピックアップトラックが大きな比重を占める。農業・建設従事者にとっては生活と生業の道具であり、彼らがローンを組めるかどうかが市場全体を左右する。
EV3.5という第2エンジン、もう一つの柱がEV3.5だ。この措置は、EVの購入補助と、タイ国内での生産義務をセットにした枠組みである。輸入して売るだけでなく、一定台数をタイ国内で生産することを企業に求めるのが特徴だ。
結果として、中国メーカーを中心にタイ国内での組立工場の建設が相次いだ。中国の駐タイ大使は、タイを長期的なEV開発の拠点と位置づけ、中国からの投資が地域の産業リーダーへの押し上げにつながるとの見方を示している。
実際、市場には新しい選択肢が次々と投入されている。シャオミはファミリー向けSUV「SkyNomad」を117万バーツから投入し、航続距離1705キロという数字を掲げた。中国の長安汽車は、タイで初となるEVバッテリーの修理拠点を開設し、「壊れたら丸ごと交換」という時代に終止符を打とうとしている。
日系メーカーの立ち位置、タイの自動車産業を長年支えてきたのは日系メーカーである。ピックアップと商用車の分野では依然として強固な地盤を持つ。一方、EVでは中国勢の攻勢が続いており、電動化の速度をどう合わせるかが課題になっている。
生産回復の見通しは、部品サプライヤーにとっても重要な意味を持つ。タイには日系の部品メーカーが多数集積しており、完成車の生産台数がそのまま雇用に直結する。
数字が戻っても、中身は変わる、注意すべきは、生産台数が回復しても、その内訳が以前とは違ってくる点だ。内燃機関からEVへ、輸出向けから国内向けへ——構成の変化は、必要な部品も、必要な技能も変えていく。
タイの陸運局は、内燃機関の三輪タクシー(トゥクトゥク)の新規登録を制限する方向も検討しており、電動化の波は観光の風景にまで及び始めている。
台数は戻る。ただし、戻ってくるのは同じ車ではない。それがこの3年の見通しが示している、いちばん重要なことである。
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